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be with you [あなたと一緒に] 21-3 [SPEC]

セカイの言葉に、当麻は何も言い返すことはしなかった。

瀬文は、首の後ろに冷たいものを感じて
その顔は赤から青へと色を変えていく。

「瀬文、いくらお前の精神力が強かろうがさすがにそれは無理か?」

「たとえどんな罪を背負っていようが、人一人の命は重い。
 今のお前に唯一無二の存在に銃を向け、そいつを殺す気持ちが分かるのか?」

「わからないねぇ」

「当麻、それともお前が瀬文を撃ってみるか?」

再び嘲笑を浮かべるセカイを当麻が受けて立つ。

「誰が、撃つかよ!
 瀬文はあたしの誇りだ!」

「少なくともおまえとは違う。
 人の為に死ねるんだよ。バカなんだよこの男は・・・。
 自分の命より守りたいものがてめぇにあんのか?
 何が先人類だ! 何がゲームだよ! 只の人殺しだ!
 てめぇは神なんかじゃねぇ」

「うるせぇ!
 お前が我々を語ることは赦さない。
 俺を語ることは赦さない。
 何も赦さない。
 赦さない・・・」

セカイの目には強い光がやどり、どす黒い怒りが支配している。

「瀬文、とっとと当麻を撃て!
 サクッと終わらせろ!」

「てめぇ、命なめてんじゃねぇぞ」

当麻が真っ直ぐに瀬文を見つめる。

「瀬文さん、刑事に私情は禁物です。もう一度、撃って下さい。
 きっとあたしが死ぬまでこいつのゲームは終わらない」

瀬文が真っ直ぐに当麻を見つめる。

「当麻、おまえ・・・俺に撃たれた記憶が・・・」

記憶があるのか? そう聞いた瀬文に小さく頷いた。

覚えているのか、あの日のことを?
覚えているのか、俺のことを?

記憶は愛だ。
俺は覚えている。
お前と出会ったこと。
共に過ごした日々を忘れることなどできない。

当麻の方はどんなところを記憶にとどめているのだろうか。
それらはどれだけ重なっているだろうか。
俺が当麻を大切に思う気持ちと同様に当麻も俺を大切と思っているだろうか。

「瀬文さん、あたし覚えてます。全部。
 ちゃんと駆けつけてくれたこと。
 約束を守ってくれたこと。
 そして、あたしを見つけてくれたこと。
 強く、強く掴まえてくれたこと・・・」

「とう・・・ま・・・」

「あたし思うんすよ。
 ひょっとしたら、あたしたち前世ってやつでも出会ってたかもしれないって。
 だからですかねぇ、何度だって瀬文さんとは会えるような気がするんですよ。
 瀬文さんに見つけてもらったおかげで、もう二度と会えないはずの人たちにも会えた。
 父上、母上、おばあさま、陽太・・・、
 係長、吉川さん、美鈴ちゃん、里中さん、みんなみんな・・・。
 嬉しかった・・・。だから・・・もう・・・いい」

「瀬文さん、すいません。また巻き込みます」

二人の視線は行き合い、静かに時は流れだす。

「どこにいようと必ず探し出す。
 だから、今度こそ来世で待ってろ」

「うっす」

そう言って、二人は微笑みを交わす。
同じ笑顔を浮かべて同じ思いを共有する。
あの日あの時、そうしたように・・・。

瀬文はゆっくりと銃口を当麻に向ける。

苦悩と恐怖で瀬文の心臓は大きく鼓動していた。
思い出が泡のように浮かんでは消え浮かんでは消え指が震える。

あの時の俺に出来た事はただ一つのことだけ。
最後まで戦い抜こうとする誇るべき友の虚ろな眼窩を見つめ続ける事だけだった。
今だってそうだ。何も変わらない。

なぜ、神はあえて片翼だけをもぎ取るのか?
なぜ、神は何度も試練を与えるのだ?
そんな問いに答えはきっとない。
運命というには諦めきれず
宿命というなら残酷だ。

瀬文の指が動こうとした時、当麻が反射的に目を閉じた。

風の音が意地悪く瀬文を囃したてると
雲と重なって消えていった当麻が目の前をよぎって瀬文の右目の奥が熱を帯びる。

「ぐ、ぐぐっ……。
 撃てん。もう二度と俺におまえは撃てん」

銃を下ろした瀬文が震える声で言う。

「随分と弱気だな。さっきの威勢はどこにいった?
 まあいい。それならそこで見てろ!」

セカイはそう言って、銃を一旦空に向けから照準を当麻に合わせた。

まずいな……。
急激に上昇してゆく意識レベルと共に
突如、脳裏に強い光が煌めく。

『ダッ』 と何かが動いた。

『パンッ』 と一発の銃声が響く。

瀬文の身体が当麻の前で崩れ落ちた。
当麻へと向かって伸ばされた手はすぐに力を失い
少し微笑んだまま静かに目を閉じた。












すいません、途中で・・・。
21はもう少しだけ続きます。
次回こそ決着つきます。

では、また。

タグ:当麻 SPEC 瀬文
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