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be with you [あなたと一緒に] 22 [SPEC]

看護婦が一人後から入っていったきり、誰も通ることもなく
忘れられたようにひっそりとした薄暗い廊下。

当麻は椅子にもたれかかり、手術中のランプをただ見つめながら
無影灯に照らされているであろう瀬文を思い浮かべその無事を独り祈っていた。

靴音がせわしなく響いてくるのが聞こえても尚、当麻はランプから目を離さない。

「すまんのー、役に立てなくて・・・。で、瀬文はどうじゃい?」

吉川の問いかけにも力なく首を横に振る。

それ以上、掛ける言葉が見つからず吉川は静かに向いのイスに腰を下ろした。

当麻の姿は、瀬文の命と呼応するかのように時折うっすらと消えそうに滲んで
それは幻想と言うにはあまりにも奇妙な光景で吉川は思わず息を呑んだ。

当麻の姿がはっきりとその姿を取り戻した時、手術中のランプの灯りが消えた。

やがて、ストレッチャーに乗せられた瀬文と共に海野が出てきた。

「手術は成功しましたよ。後は本人の生命力の問題でしょう。
 普通の人ならねぇ。
 まぁ、でもこの人の場合、
 銀の杭でも打ち込まないと死なないんじゃないですか?」

「なんやと、もういっぺんいっみやがれ!」

今にも掴みかかりそうな吉川を怪しげな笑顔で諭しながら、
その一部は胸に刺さっており、
瀬文が握って離さなかったという小さな木片を当麻に見せた。

――これは・・・。きっと、あの時の・・・。

そう、瀬文が両親の墓の前で大事そうに懐にしまった小さな仏像なんだと当麻は思った。

吉川は当麻の眼に光が戻ったのを確認すると「今日は休んでいい」という野々村からの言葉を伝え、
「瀬文を頼んだぞ。また後でくる」とだけ言い残し帰っていった。


あれからどれくらいの時間が過ぎたのだろう。
時折、うなされるように呻き声を漏らすが瀬文の意識はまだ戻らない。
ただ生きているという証のようにベットサイドモニターの画面が規則正しく波形を刻む。

窓を少し開け外の景色を眺めると夕日はすっかり姿を消し、大きな月が浮かび始めていた。
いつの間にか季節は秋を過ぎていて、冷たく流れ込む夜気が当麻の頬を撫でる。

「とう・・・ま」

瀬文の手が当麻を求めて彷徨う。
その手を包み込むように当麻の手が触れた。

『ああ、あの時と同じだ』そう思った時、
瀬文の手が、そっと伸ばされて当麻の身体を抱き寄せた。

「会いたかった」

瀬文の微笑みは痛みに歪みながらも何処か懐かしげで
眩しそうに目を細めて当麻を見た。

じんわりとした体温が、まるで瀬文の存在そのもののように身体に染みてくる。
胸の鼓動が、瀬文にも聞こえるのではないかという位に大きく鳴っていた。
木枯らしに揺らされる窓のように、瀬文を手繰る指が震えたのを感じた。

いつしか盛大なイビキをかき、安心したように眠りについた瀬文を前に

「瀬文! 起きろ! 寝んな!」

咄嗟に出たのはそんな言葉で、自分に少しだけ笑ってしまい、
掴まれたままの手を強く握り返した。



面会時間も残り少なくなった頃、志村と美鈴が並んで歩いて来た。

「お兄ちゃん、瀬文さん大丈夫かな?」

「大丈夫だ、そんなに心配するな」

二人は、瀬文の病室の前で足を止め
何やら一人で悶えている吉川の姿を見つけた。

「どうしたんですか、吉川さん?」

「ああ、志村か。わし、あの二人の間には入れんわ」

扉を少しだけそっと開け、見て見ろとばかりに病室の中を指さす。
そこには、ベッドの傍らのイスに座り瀬文の胸元に顔を埋めるようにスヤスヤと眠る当麻の姿と
当麻の左手を思い切り掴んだまま眠っている瀬文の姿があった。

「とう...ま」

瀬文の掠れた譫言が聞こえ三人は一瞬びくりとした。
そして何も言わずに目を合わせ、軽く頷ずきあってまたそっと扉をしめた。

どこか暗い表情の男二人とは対照的にすっきりした表情の美鈴が話し始める。

「お兄ちゃん、そんなに落ち込まないでよ。ってか、とっくに振られてんじゃん」

「あーあ、三人とも失恋しちゃいましたね」

「えっ? わしは...別に...」

吉川が必死に手を横に振っている。

「ま、いいからいいから。
 帰ってビールでも飲みますか。
 三人で飲みますか・・・」

そう言う美鈴に引きずられるように三人は仲良く(?)帰って行った。





さて、このままの甘い雰囲気で結婚式に戻るのもありかもとも思いますけどね。
でも、それは大間違いかもしれませんよー。(笑)
まだ、解決されてないことあったような?(←何か企んでやがるだろ!)
という訳でもうちょっと続きます。

では、また。


タグ:当麻 SPEC 瀬文
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