So-net無料ブログ作成
検索選択

be with you [あなたと一緒に] 18 [SPEC]

吉川が慌てて店に飛び込んできた時には、
石原は何食わぬ顔で女を連れて出て行った後だった。

瀬文と当麻の横を一瞥をくれただけで通り過ぎ過ぎてゆく二人が
何をした訳でもなく、ただ黙って見送ることしかできなかったのだ。

警視庁の建物の中なら奴らもさすがに手は出せないだろうという
吉川とパンチーズの護衛付きで二人は別々のルートで未詳へと戻ってきた。
それは不気味なほど何事もなく拍子抜けするほどであった。

瀬文は事の成り行きに不機嫌を募らせていた。

「なあ、当麻。何で俺をあの店へ連れて行った?
 ただ、何か食いたかったって訳じゃねーよな。
 釣れたってのはどういう意味だ?」

「説明要りますか?
 腹へったってのも嘘じゃないですし、
 雰囲気が良かったから、何て言っても信じませんよね。
 そうですよ、もし本当に瀬文さんが狙われているのなら、
 誰かが、何らかの形で接触してくる。それを待ってたんすよ」

「それって、やっぱり俺をエサにしたってことか?」

「珍しく冴えてますな、瀬文さん」

「・・・らしいな」

分かっていたことではある。
しかしこうはっきりと言葉にされるとさすがに腹が立つ。

いつのまにか当麻は仮眠スペースに習字セット取り出していた。
黙々と墨をする。
いつもの当麻の儀式である。

ようやく瀬文は当麻に目を向ける。

頼んだぞ、当麻。

吉川もまた黙って当麻を見守っていた。

静かに目を閉じ精神統一した後、大きく目を見開き、
半紙の上に筆を走らせる。

『さあ、ゲームの始まりです』

『大柄で髭面のホームレス』
『胸に《蠍》のタトゥの風俗嬢』
『巨漢のグルメリポーター』
『クレイマーのモデル』

『消えた青池さん』

『浅倉』

『天涯孤独の中年男』
『真山』
『石原』

一旦、筆を置いてチラリと瀬文を見てから最後のキーワードを書いた。

『瀬文』

半紙をビリビリに破って上に向かって放り投げる。

桜吹雪のような半紙片の中に凛として立つ当麻。

やがて、波動関数上の解が導き出されるように物語の筋書きが明らかになっていく。

「いただきました!!」

「分かったのか?」じれた瀬文が声を発した。

「浅倉はいわゆる『サイコパス』」

「サイコパス?」

「極端な冷酷さ、エゴイズム、感情の欠如、犯罪に対して罪悪感も後悔の念もない。
 まさに、最悪の犯罪者っすよ」

「瀬文さんは監禁されてたんですよね。その時の記憶ないんですよね。
 それって、何らかのキーワードで行動を起こすように
 マインドコントロールされている可能性があるってことですよ」

堰を切ったように話し始めた当麻に男二人は付いていけない。

「もう少し俺にも分かるように話してくれ」

「つまり、それって殺される寸前だったってことです。
 思い出せませんか?
 何か言葉に反応しません?」

「だ・か・ら。棺桶に片足つっこんでるっつーの!」

「当麻、落ち着け!」

瀬文に軽く頬を叩かれ我に帰った当麻は、大きく息を吐き出した。

「殺人犯の自殺は、浅倉のマインドコントロールによるものだと思います。
 犯人が殺人を犯したのに特に意味はなく、ただ浅倉に操られていたんだと。
 浅倉の目的は分かりません。
 ただ、犯行の動機がテロなのではなく、もっと個人的なところにあるように思うんすよ。

 そして、その殺人の意味は、『七つの大罪』です。『セブン』です。

 『大柄で髭面のホームレス』は《熊》、つまり「怠惰」SLOTH。 
 『風俗嬢』は《蠍》、つまり「色欲」LUST。
 『巨漢のグルメリポーター』は《豚》、つまり「暴食」GLUTTONY。
 『クレイマーのモデル』は《孔雀》、つまり「傲慢」PRIDE
 『石原』は多分《狐》、「強欲」GREED。

 そして、《狼》「憤怒(激情)」WRATHは、きっと瀬文さんです」

「じゃあ、残りの「嫉妬」ENVYは?
 まさか青池さん?
 そうだ、さっきの女・・・。
 ほら、石原が連れてた女ってどことなく青池さんに似てませんでした?」

「そういえば・・・」

女の姿を思い出した瀬文の表情が、見る見る曇っていく。

「里子が危ない!」

「石原の周辺を洗えば、あの女の居所が分かるかも知れません。
 吉川さん願いします。 あたしも一緒に行きます」

「瀬文さんは、係長や宮野に連絡して下さい。
 青池さんは、必ずあたしが助けます。
 だから、大人しくここで待ってて下さい。
 後で、必ず連絡しますから・・・」

当麻は、何か言いたげな顔でじっと見る瀬文を牽制する。

「だが・・・」

「ここは、大人しく当麻の言うこと聞いとけや!」

吉川の言葉に強気に言い返すだけが策ではないことを悟ったのか瀬文が素直に応じる。

「分かった・・・。何かあったらちゃんと知らせろ!」

「吉川、当麻を頼む」

「おうよ!」

無事で戻れ。そう祈るようように向けられた瀬文の視線を吉川はしっかりと受け止めた。

当麻は浅倉の正体がつかめないもどかしさを抱えながら
目に見えない、不吉な何かの力、運命のようなものをその時予見した。






1週間も空いてしまいました。m(__)m
PCの調子が悪くて、直す時間もないし、とまあ書く時間もなかったんですけどね。

さて、「七つの大罪」は思ったとおりでしたか?
簡単過ぎました?

浅倉の目的は何なんでしょうかねぇ。
石原の出番、終わりっすか?
吉川さん、活躍しねーな。
とか、色々ありますねぇ。( ̄▽ ̄)

と、これは元々一体全体何の話だったのかと疑問を持ちつつそれでも続きます。はい。

では、また。


タグ:当麻 SPEC 瀬文
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:テレビ

be with you [あなたと一緒に] 17 [SPEC]

時間は夜の8時を回っていた。

当麻が行きたかったという店は大通りを一本入った静かな路地にあり、
店内は薄暗くロウソクの灯りがあちこちで揺らめいていて
一見するとバーのような独特の雰囲気を醸し出している。

周りはお洒落なカップルばかりで坊主頭に葬式スーツの中年男と
赤いキャリーを引いたぼさぼさ髪にダサいスーツの女は完全に浮いていた。

一緒にいるのが当麻だという事実と、
慣れない場所でのある種の居心地悪さはあるものの、
落ちついた雰囲気と相手との会話を邪魔しない程度の音楽は内心悪くないと思っていた。
ただ、当麻がこの店に案内してきた理由が疑問だったが。

「お前がこんな店、知ってるとは意外だな」

「志村さんと来たんすよ」

「あいつ、よくもまーこんな小汚い女連れて...」
口をついで出たのは皮肉交じりの言葉だった。

「何か、今さらっと失礼なこと言いませんでした?
 残念でした。志村さんと来た時はちゃんと綺麗な格好してましたよ」

「そうかよ!」

「周りの会話は聞こえないし、大体、周りのことなんか誰も気にしてない。そこがいいんすよ」

「そういうことか」

当麻がその答えに対して何も言わないので
疑問はいとも簡単に解決されたのだと思っていた。

「とりあえず、何にします」

と言いつつ一人でメニューを貪り読む姿に呆れつつも
『当麻らしいな』と少し緩みそうになる口許を抑え
「これにする」とほぼ同時に指さしたのは同じものだった。

「気が合いますなぁ。ふふふっ」
気味悪く当麻が笑う。

「違うのにしろ!」

「お前と同じ鍋なんか食えるか!」

「えー、何でですか?」

「俺はまともなモンを食いたいんだ、譲れ!」

「やですよ!」

「黙れ! ブス!」

「ブスじゃねぇし、瀬文さんがいじめるぅ~」

こちらが揉めているのを察したのか
品のよさそうな店員が話しかけてきたので
不貞腐れている当麻を無視して注文を告げると店員がある提案をしてきた。

丁寧に頭を下げて、一度下がっていった店員を目で追うと
自分たちとは違う意味でこの店に似つかわしくない二人連れが店に入ってきたのが目に入った。

暫くして、さっきの店員が申し訳なさそうな顔をして戻ってきた。

「先ほどの件ですが...只今ご用意できないとのことです」

わざとらしく大きなため息を吐きだし、フンと鼻息を荒く噴き出してみたが
状況は変わるわけでもない。

「何ですか、一人用の鍋が出払ってるぐらいで、そんな顔して、
 そのデキてるやつらは一つの鍋を仲良くつっついてやがれ的な殺気は!
 とにかくその殺気しまってくださいよー。
 目立ちますって! でも、それもありかも?」

「おい、それはどうい意味だ?」という疑問に当麻は答えず、

「おまえ、鍋にマヨネーズ直接入れるな!」という忠告を聞くはずもなく、

「えー、マヨチゲ旨いのに」
「マヨチゲ、バカうま、高まるぅ~」

「この味バカ、舌バカ、バカ」

と出来れはしたくもないお決まりの会話を一通りした後、
およそこの世のものとは思えぬ色をした鍋を満足げに平らげた当麻は
デザートに手を付けようとして手を止め、俺の耳元へ少し顔を近づけてきた。

「瀬文さんのことだからとっくに気がついているとは思うんすけど、
 あたしたちさっきから見られてますよね」

「ああ、俺の右後ろのヤツだろ」

「どんなヤツだ?」

瀬文越しに後ろをじっと覗き込む当麻。

「おい、あんまりじろじろ見るな!」

言うのが早いか、当麻の額に拳がクリーンヒットした。

「うっ!
 そうっすね。吉川さんの知り合いって感じで
 背格好も年齢も瀬文さんぐらいっす」」

大げさに額を擦りながら答える。

てことは、さっきの二人連れか?

「派手な女を連れたヤクザか?」

当麻は、大きく頷いてみせた。

「あっ、今あいつと目あっちゃいました」

顔を上げながら焦った顔をしている。

「こっち来ますよ。どうします?」

男は妙な笑みを湛えて近づいてきて、二人の横で立ち止まると

'Poor little girl.' と当麻に囁いた。
(可哀想なお嬢ちゃん)

そして、鋭い眼差しを向ける瀬文と無言で見合ってから
捨て台詞のように言葉を吐いた。

'You piece of shit. You are worse than I am. '
(おまえクズだな、俺より最低な奴だぜ)

'Barking dogs seldom bite.'
(弱い犬ほどよく吠える)

余裕で言い返したがさすがに殺意が湧く。

男は眼鏡の奥で一瞬ちかりと、冷たい無機質な光を走らせ踵を返す。

「なかなか言いますなぁ」
当麻のヤツは声を押し殺して笑っていた。

「あいつ何者だ?」

「釣れましたね」
と当麻が片方の口角を上げるが何の事だか分からずイライラは募ってゆくばかりだ。

「どういうことだ? 説明しろ」

「その前にちょっといいですか。あいつどう見たって、吉川さんの専門すよね」
そう言いつつさっきから携帯を手にしていた当麻は、
吉川にその男の背格好や特徴、それから状況を説明し始めた。

「じゃあ、お願いします。場所とヤツの画像はメールで送っときますから」

こいつ何時の間に、あいつの写真なんか撮ってやがった。
ったく、危ないことしやがって。

「瀬文さん。では、本題に入りますか」

「例の事件の犯人、共通点がありました」

「最初の爆発事故では実はもう一人男が死んでいます。
 そして、風俗嬢を殺した犯人は女・・・」

キャリーからがさごそと取り出した資料には、
どうせお得意のハッキングとやらで拾ってきたのだろう殺人犯の写真と
里子に渡されたマイクロSDカードの画像が並べて添付されている。
それを見る限り、確かに当麻が言うように犯人と被害者の年格好が似通っている。

「そしてもう一つ。犯人は皆、妻子はおろか、親兄弟もいない。
 所謂、天涯孤独ってやつです」

そこまで説明を終えたところで吉川からのメールが帰ってきた。

――そいつは、山王会の若頭で、石原 秀人っちゅう鼻持ちならんやっちゃ。
  あそこの金庫番。まぁ、インテリやなぁ。
  でも金しか信じてない男やでぇ。そいつはヤバイでぇ。
  年は39。かみさんと子供がおるっちゅー話は聞いたがことないのぅ。
  それから、ぬしら勝手に何しとんじゃっ!
  わしがそっち行くまで動くんやない!
  当麻、瀬文のことは任せたで。

当麻は、メールを見て下を向いたままじっと何かを考え込んでいる。

「どうした?」

「真山さんて、独身の中年男すよね。
 石原も吉川さんによれば、多分そう。
 瀬文さんなんて完全にそうだし」

「うるさい、ほっとけ!」

「少なくとも、真山さんと瀬文さんは天涯孤独ってとこまで同じ...」

そこまで言って、裏紙で作ったらしい汚いメモを取り出し、何かを書き始めた。

【真山さんは、警察官-階級は警部補。ほぼ黒ネクタイ、目つきが妖しい】

【瀬文さんは、警察官-階級は警部補、黒スーツに黒ネクタイ、目つきが悪い】

【石原は、ヤクザ、サバスーツにメガネ、目つきが悪い、
 背格好は瀬文さんとほぼ同じ、年齢も同じ】

「どー考えても、瀬文さんてこの二人とかぶるんすよ」

「あの事件の時、真山さん何か言ってませんでした?」

「・・・悪い。本当に何も・・・」

俺にあの時点での記憶などあるはずがない。

「いや・・・待てよ...」

あの事件を思い浮かべた心の奥底で何かがぞわりと蠢き始めたのを瀬文は感じていた。

この記憶はどれだけ本当で、一体どこからこの世界の光景を覚えているのか?
そんな疑念の答えを得られぬまま、
あちこちに切り散らかされたフィルムのようなぼんやりとした記憶の欠片が少しづつ繋がっていく。

どこからか聞こえた当麻の声・・・
あの日の情景・・・
浅倉と呼ばれる男の顔・・・
真山の姿・・・
真山の最後の言葉・・・

強い光。
暗い空の向こうの燃えるような紅。
ぞっとするような美しい笑顔。
まっすぐに男に向けられた銃。
引き金を引く音。
『お前は神じゃねぇ』という声。

にじんでゆく当麻の顔・・・それが浮かんで
夢うつつに目を閉じたまま、眉間に皺を寄せていた瀬文がカッと目を見開いた。

「瀬文さん?」

当麻はただならぬ雰囲気に顔を強ばらせると
血の気のない顔が一段と青白くなる。

この記憶が本当だとしたら、何だと言うのだ。
今回の事件と関係があると言うのか。
俺がこの世界に存在することにどんな意味があるというのだ。

瀬文は怖いぐらいの無表情で、真っ直ぐ当麻を見つめていた。










UPするのが遅くなってしまいました。その分、長いです。 m(__)m

今回は、謎を解いてるんだか、増やしてるんだか分からない展開ですね。
伏線張ったり、回収するのはホント難しいです。
頭の中の妄想をそのまま言葉にするだけでは読んでる人は意味不明になってしまうという
当たり前のことに今更気付いて、自分にはハードルの高いことやり始めたと反省しつつも続きます。(笑)

石原さんて、秀人って言うんですね。あら、なにげにカッケー!
石原さん、大好きです。(←って、バレンタインも過ぎたのになに告白しとんのじゃ)
禁断の中の人のネタですが、今回は内容上特別に登場していただきました。
単純バカの警察官とインテリやくざ...とても同じ人とは思えません。
二人がバチバチと視線を合わせたらと考えるだけで萌えまする。(←バカです。自覚あります)

では、また。


タグ:当麻 SPEC 瀬文
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:テレビ

be with you [あなたと一緒に] 16 [SPEC]

「・・・そうか。わかった。よろしく頼む」
電話を切って瀬文は大きく深呼吸した。

「ふぁあ~。せ、ぶみさん?」
いつの間にか寝ていたらしい当麻が瀬文の声に目を覚まし眠そうに声をかける。

「起きたのか?」

「つーか、いたんすか?」

「なんだとぉ! 普通こういう場合、自分だけ帰らんだろう」

「瀬文さん」

「何だ!」

「はらへりました」

「しょがねー、何か買ってきてやる」

「瀬文さん」

「だから、何だ!」

「ダメっす、待って下さい」
それは当麻から反射的に出た言葉だった。

「あのなー、当麻。俺を守るってのは閉じ込めておくことじゃねー。
 それじゃ、里子と大してやってること変わんねーだろうが」

ったく、当麻のくせに、女々しいこと言ってんじゃねぇぞ。

「里子はなー、お前のその頭脳に俺を託したんだ。
わかってんのか? 里子の思いなめんな!」

「もう、朝から...里子、里子って、うっさ~にゃ、おみゃーは」

「違いますよー。何また朝から一人で熱くなってんすか?」

「なんだと?」

「行く前に注文聞いて下さい。牛丼がいいっす。特盛り10個。あと卵もおねげぇしやす」

少しは感謝の意味を込めたつもりの言葉など当麻に伝わる筈もなかったのだ。

「てめぇ!」

すかさず瀬文の拳が当麻めがけて飛ぶ。

「ぐえっ! そういえば、今の電話?」
額を擦りながら、思い出したように当麻が言った。

「ああ、宮野だ。里子はまだ見つかっていないそうだ」

「そうっすか。心配っすね」

「当麻、そんな顔すんな。

 牛丼買いにいったまま、帰って来ないとかそんなことはしない」

「当たり前っす。そんなことしたら腹減って死にます」

「・・・」
瀬文は、わなわなと拳を握りしめている。

「瀬文さん?」

「今度は、何だ!」

「今晩、ちょっと付き合って下さい。そいで奢って下さい」

何でそうなるんだ? と呆れたが
無邪気な顔をしてにっこり微笑む当麻を見て、まあ、今回はしょーがねーかと思った瀬文は
「わかった」とコートを掴んでさっさと出て行った。

「うっす」と何かを含んだ笑みを当麻が浮かべていた。




今回は長いんで、分けます。
続きは、また後でUPしますね。
うっ、眠い。また明日UPしますね。
内容のないままの途中で終わっててすいません。

では、また。


タグ:当麻 SPEC 瀬文
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:テレビ

be with you [あなたと一緒に] 15 [SPEC]

かれこれ2時間は経ったろうか、
自分の席で腕を組んだまま、瞑想するかのようにじっとしていた瀬文がうっすらと目を開ける。
時計をちらりと見て席を立ち、二人分の珈琲を淹れると、
その一つを当麻の机にトンと置く。

「飲むか?」

「あざーっす」

「少し休憩しろ」

「そうっすね」
そう言いながら首と肩をゴキゴキと回した後、
いつものようにたっぷりと珈琲にはちみつを注ぐ。

「肩でも揉むか?」
モニターを見たまま答える当麻に声をかける。

「いいですよー。気持ち悪っ! 地味にセクハラっすか?」

「黙れブス!」
眠気覚ましとばかり、デカい声を一発おみまいする。

「で、どうだ?」

「いろいろ分かってはきたんですけどねー、
 自殺した殺人犯たちに関しては、もう少し情報が欲しいってところです」

「なぁ、当麻。ちょっといいか...」
再びモニターに目を落としかけた当麻に言いにくそうに話を始める。

「なーんすか?」

「志村のことだが...。お前、あいつと結婚するのか?」

「それなら、あいつを幸せにしてやってくれ。
 もし泣かすようなことがあったら、俺が許さん!」

「あのー、瀬文さん?
 それって、男に言う台詞ですよねー」

「な~んか、勘違いして一人で盛り上がってるところ悪いんすけど
 あたしは、誰とも結婚なんてする気ありませんよ」

「じゃあ、なぜ志村と付き合ってる?」

「別に付き合ってませんよ。
 ちょっとだけ、普通の女の子みたいな気分を楽しんだりしたのも事実ですけど
 ただ、時々一緒にお茶したり食事したりしてるだけです。
 誘われるんでありがたく御馳走になってるだけです」

「それを一般的には付き合ってるって言うんじゃないのか?」

「そうっすか?」

「瀬文さんだって、たま~に、まれにだけどCBCで奢ってくれるじゃないですか。
 あれって、ひょってしてデートなんです?」

「あれは仕方なくだ。断じてデートなんかじゃねぇ!」

「そうですよね。そういうことです」

「大体、恋なんてのは、脳に分泌される化学物質のせいで、
 ドキドキするのは、アドレナリンの出過ぎが原因だし、
 気分が高まったり、めちゃめちゃ嬉しかったりするのはドーパミンの仕業、
 気になる人のことが頭から離れないのは、セロトニンが足りないだけ。
 それだけのことです」

「なんだそれは?」

「志村さんていい人ですよね。
 なのに青池さんのこと聞き出すようなことをしたのは自分でもどうかと思います。
 だから、こんなあたしなんか相手にしないで幸せになって欲しいと思ってます。
 そのことはちゃんと伝えました」

――「ごめんなさい。どうしても隣にいたい人がいるから...。
   二人の人生の先が重ならないことは分かっているけど、
   それでも共に居られる時間を、ただ隣にいて前を向いていたい。
   だから誰とも結婚なんてする気はありません」

「お前だって、一応は若い女だ。
 好きな男と結婚して家庭を持つとか、そういう普通の幸せ欲しくないのか?」

「じゃあ、瀬文さんは、何でその年で独身なんですか?
 モテないんですか? そうじゃないですよねぇ。
 自分こそ青池さんと結婚でも何でもして幸せになればいいじゃないですか!」

「俺は刑事だ。いつ死ぬかわからん」

「あたしだって刑事だよ!」

当麻は椅子から立ち上がって、瀬文を睨みつけた。

その時、瀬文の携帯が着信を告げ、それを受けた瀬文の様子が慌てたものに変わる。

「瀬文さん?」

「宮野からだ。里子が姿を消した」

「青池さんが?」

里子と連絡が取れなくなったのはこれで2回目だ。
まさか、今度こそ...。

慌てて走って出て行こうとした瀬文を当麻が止めた。

「瀬文さん、待って下さい。
 今、ここで瀬文さんがむやみに動いたらダメです。
 心配なのは分かりますけど、
 宮野から電話があったということは既にSIROが探している筈ですから」

「しかし・・・」

「瀬文、冷静になれっつってんだよ!」

振りあげた当麻の手を瀬文が掴んだ。

「なにすんだよ! 放せよ!
 あんたのこと心配してんのは青池さんだけじゃねーんだよ!
 これだから、バカは嫌いなんだよ!」

当麻は湧きあがってきそうな何かを、必死で押しとどめた。

瀬文は手繰るように僅かに潤んだ当麻の眼の奥を見つめようとしていた。
ただ、間近で、確かな光を放つ美しいそれを、飽きもせず眺めたいと
僅かに震えるその身体をこの手で抱きしめたいと思ったが
必死にその自覚に背を向けて平静を装った。

「あたし分かってますよ。
 瀬文さんがそんな風に遠い目をしてる時、あたしを見ながら他の誰かを思ってるんだってこと。
 (一体、その心の中には誰がいるんですか?)」

当麻の言葉が俺の神経をどこかでふわりと撫でたのかもしれない。
堪らなくなって、心の中でその細い身体を抱きしめた。

当麻の耳に瀬文の噛み殺した嗚咽が聞こえてくる。

「瀬文さんは、ホント泣き虫っすな」

当麻の手が幼い子をあやすように瀬文の背中をそっと撫でた。

「お前の言う通りだ。すまない。俺は卑怯な男だ。
 だから、決してお前が女として残念だとかそういうことではない」
それは絞り出すように小さな声だった。

「もういいですから! 謝らないで下さい。
 そんな風に謝られると...なんか惨めな気分になりますって...」

「とにかく今日は大人しくしてて下さい」

さすがの瀬文も己の情けなさに呆れて思わず溜息をつき、小さく首を縦に振った。









せっかくいい雰囲気になったのに、瀬文さん、あんたが残念だよ。(爆)

瀬文さんて、ルックスも性格も悪くないけどモテそうな気がしなくて
私的イメージは「残念な男」なんですよね。
合コンでも「命捨てます」ってやっちゃうような人(里中さん談)なんですもん。
バレンタインにも美鈴ちゃん以外からチョコ貰ってそうな感じがしない。
つーか、チョコ持ってる瀬文さんが想像できない。
実は大量のチョコ貰ってたんだろうか??

謎説きと言いながら、今回は事件の謎についは進展してません。(-_-;)

それでも、志村さんのことについては一応、解決したのかな?
志村さん、いくら「へたれ」だつったって、一応SITの隊員なんだし、
守ってくれるだろうし、優しそうだし、背も高いし、結構いい男だし、
幸せになれそうですけど、物足りないだろうな、当麻にはね。
志村さんが可愛そう。当麻、酷い女だなぁ。(笑)

では、また。


タグ:当麻 SPEC 瀬文
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:テレビ

be with you [あなたと一緒に] 14 [SPEC]

公園で起きた爆発事故が事の発端だった。

その爆発事故に巻き込まれ死亡したホームレスが金と一緒に握っていた一枚の紙。
そこにはテロの予告とも取れる内容が書かれていた。
しかし事件の情報は伏せられ、表向きにはただの事故として処理されている。

犯行声明代わりの『テロの予告状』にSIROが動き出したが、
その後もテロらしき事件は起きていない。

同じように金と一緒に一枚の紙を握っていた女の遺体が山中で発見された。
しかし、その紙には何も書かれてはいなかった。

その後、犯人と思われる人物が特定されたが捜査の途中で自殺している。

更に、グルメリポーターとモデルが次々と殺され、
この二人もまた金と一緒に白紙の紙を握っていた。

やはり犯人と思われる人物が自殺している。
被害者にも犯人にも共通点がなく、犯行の手口もバラバラで連続事件の可能性を示しているのは
被害者が金と一緒に握っていた紙だけだ。
未だ事件の真相はわかっていない。

テロに関しては、もはや単なる『愉快犯』の仕業ではないかと思われ始めた頃、
警視庁内からの『浅倉を追え』という謎のリークを受け、
例の事件関係者である俺がSIROに呼ばれたという訳だ。

里子は、俺が『事件の鍵を解く、何らかのキーを握っている』と言うが
それが何なのか皆目見当もつかない。

「青池さんがあんなに心配してた訳っすね。
 本気で瀬文さんを守ろうとしてたのにすぐに未詳に戻ってきちゃって
 瀬文さんはホントにバカですなぁ」

「そんなことより、くれぐれも係長と吉川には今はこのこと言うなよ」

「分かってますよ。情報を漏らしたことが知られると青池さんがヤバいんでしょ」

「青池さんの為にも、全力を尽くします」
当麻は瀬文に向かって真顔で敬礼した。

「それとこれは里子からだ」
いつもの紙袋から綺麗にラッピングされた小さな箱を手に取った。

「これって瀬文さんへのプレゼントじゃ?」

「いいから開けてみろ!」

不思議そうな顔をしながらそれを受け取った当麻。
包みを開けると指輪のケースが入っており、その中身はマイクロSDカードだった。

早速、PCへ読み込むと、2つのフォルダが現れ、
その1つをクリックすると被害者が握っていたと思われる紙の画像が表示された。

「最初の一枚以外は、本当に白紙じゃないですか? おかしくないっすか?
 おかしいっすよね?」

「・・・そうだな」
当麻の操るPCを瀬文は後ろから覗きこむ。

もう1つのフォルダには被害者の発見時の画像が集められていた。

「やっぱり最初のも事故に見せかけた殺人ってことですかねぇ?」

「爆発事故に巻き込まれ死亡したのは大柄で髭面のホームレス。
 握っていた紙はあちこち焼け焦げてますけど、「さあ、ゲームの始まりです」という文字が読み取れますな。

 山中で発見された風俗嬢は、下着姿で絞殺。
 その女のボンバーな胸には《蠍》のタトゥ有り。っと」

「うひょー、エロいっすなぁ。ねぇ、瀬文さん?」

「俺に同意を求めるな!」

バコッ!!

「いってぇなー!」

「グルメリポーターは巨漢で、遺体は飲食店の裏のゴミ置き場?に捨てられてますね。

 モデルの髪には目を惹く孔雀の髪飾り。
 この人? 有名なクレイマーじゃないっすか」

「無差別テロにしては、爆発は最初の事件だけだし、
 う~ん。被害者たちそのものが何かを現しているのかもしれませんなぁ?」

瀬文はただ、当麻を見守るしかなかった。

カタカタというキーボードの音と、時折叩きつけるようにエンターキーを押す音だけが未詳に響く。





えーっとですねぇ。
今後の展開に必要なので、ここから事件の謎解きが加わります。
お暇だったら解いてみて下さいませ。
ま、勘のいい方ならもう分かったりして...。
意外と複雑かもしれませんのでうまく回収できなかったらすいません。
先に謝っておこうっと。(←オイ!)

それと、志村さんの件は次回明らかになります。


タグ:当麻 SPEC 瀬文
nice!(0)  コメント(2) 
共通テーマ:テレビ

be with you [あなたと一緒に] 13 [SPEC]

リフトが動く音。
ガラガラ...バタバタ...はふはふ...?

「おぁはうようごはいはふぅ」

「??」

ゴキッ!

「なにしやがはふぅ」

「てめぇ、肉まん咥えたまんま来んじゃねぇ!」

「瀬文くん、今日も朝から絶好調で機嫌悪いよねぇ」
野々村は気付かれぬようにそっと後ずさる。

「おぅ、触らぬ瀬文に祟りなしじゃわい!」
吉川&パンチーズは、いない振りを決め込んでいる。

野々村と吉川&パンチーズはいつも以上のハゲしい未詳名物〔殴り愛〕を確証していたが
実際には《絶対零度の視線&殺気》VS《凶悪面&舌打ち》の冷戦が繰り広げられることとなった。

終日、息をひそめていた野々村と吉川&パンチーズが
やれやれと帰って行ったのを待っていたように瀬文が動いた。

「当麻、話がある」

「何すか?」

「一日中、般若みたいな顔してないで言いたいことがあるならはっきり言って下さいよ!」

「だ・か・ら、今言おうとしている!」
「里子の話なんだが...」

「げっ! あたし相手にのろけようってか?」

「他の連中には言わないという約束で聞いて欲しい」

「さては、もう既に潤ちゃんの弟か妹できちゃいましたか?」
「こうなったら、迷ってないで早く結婚しなっせ。幸せになりなっせ」
とわざとらしい瞬き、いやウインクをして見せた。

「おい! お前こそ志村とそのだなー」

「しましたよ」

「ん? し、しました? やっぱり、そうか...あは...はは...」

「何すか、その引きつったようなやらし~笑い方は?」

「うおっ! いってぇー!」
「当麻、何しやがる!」

「今、何考えた? このエロハゲ!」

「俺は、ハゲじゃねぇ!」
「エ、エロは...まぁ、しょーがねーだろが!」
瀬文はゆでタコよろしく耳まで真っ赤である。

「そこは認めんのかい!」
おっさん、キモッ!!」

「瀬文さんが考えてるようなことはしてませんよ。
 したのは話です。ちゃんと話しました。この先のこと」

「そうか、それで?」

「って、いいんですよ。あたしのことは!」

「瀬文さん、話があるんでしょ」
「青池さんと何かあったんですか?」
「この間、瀬文さんが休みの日に彼女ここへ来ましたよ」

「里子が?」

「青池さん、瀬文さんのこと本気で心配してました。
 詳しいことは言えないけど瀬文さんのこと守って欲しいって。
 助けてあげて欲しい。って私に頭を下げました。
 怖いくらいに目が真剣でした」

「彼女や潤ちゃんやその妹or弟or両方?の為にも命を大事にして下さい」

「おい! 勝手に俺を子沢山にしてんじゃねぇぞ!」
「言っとくが、里子と俺は今はそんな関係ではない。 潤も俺の子ではない...らしい」

「らしいって、何だよ!」

「まあ、お前に信じてもらう必要もないがな」
「そして、里子に何を頼まれたかは知らないが、刑事に私情は禁物なんだろ!
 お前に守ってもらうつもりなどない!」

「あたしは刑事として、仲間として、守るべき時は守るべきものを守る。それだけです」

「そうか、なら。刑事としてのお前に頼みがある」
「実は・・・」

と瀬文は里子から聞いた情報を当麻に話し始めた。





うおっ! 加瀬さんと戸田さんが同じメーカーのCMに出てた。
どうせなら同じのに出てくれたらよからぬ妄想をする気満々です。(笑)

欝気味よりは機嫌悪いのがデフォな瀬文さんとか
くだらない二人の「言い愛」(←ワザとです)とか
自覚のないヤキモチ発言をする当麻が見たくなりまして...。
子沢山の瀬文さんも見て見隊かも?(←オイ!)

私的には瀬文さんは、ムッツリスケベですが、
ドラマ本編の前半では結構エロ発言してましたよね。
なので、今回は認めてもらいました。(*^_^*)

では、また。
タグ:当麻 SPEC 瀬文
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:テレビ

be with you [あなたと一緒に] 12 [SPEC]

「瀬文くん、おはようサマンサ♪」

「おはようございます」

いつにもまして不機嫌な瀬文の顔を見かねた野々村が声を掛ける。

「何、怒ってるの?」

「あいつ、また遅刻ですか?」

「あ、今日ね当麻くんなら非番だよ。昨日、言ってたよね」

そうか、そうだった。
昨日は頭に血が上ってロクに話を聞いてなかったらしい瀬文の横でブルブルと
さっき放り投げた携帯がせわしなく震え出した。

「もしもし、瀬文さん?」

「美鈴ちゃん? 朝からどうした?」

「昨日から、友達と温泉に来てるんだけどお土産なにがいいですか?」

この間の詫びのつもりか?

「やっぱ温泉まんじゅう? それとも...お酒とか...」

美鈴の声をかき消すように外野の騒がしい声が瀬文の耳元まで響いてくる。

(「ねー、瀬文さんて誰? 彼?」)

「違うよ。兄貴の先輩だってば~」

(「どんな人?」)

「う~ん、坊主で葬式スーツで元SIT」

(「それって、微妙じゃねぇ?」アハハハハーーー!!!)

うるせーよ! 外野ども! ほっといてくれ!

「もしもし、美鈴ちゃん?」

「あ、すいません」

「美鈴ちゃんが選んでくれたものなら何でもいいよ」

「そうですか。じゃあ、また帰ったら」

うふっ♪。と嬉しそうな声を残して電話は切れた。

「・・・」

一体、何だったのかと思うのと同時に
頭の中では見たくもない絵が描かれたパズルのピースが繋がっていく。

『今日は木曜日、志村は非番だ』
『当麻も非番』
『二人は昨日会っていた』
『昨夜、美鈴ちゃんは旅行で留守だった』

ということは、今頃当麻と志村は...。

最後のピースが嫌な音をたててハマった気がした。

だから、何だってんだ。
俺には関係ない。
と単純にそう思えないのは嫉妬、というより多分欲だ。
前の俺ならそんなことにも気がつかなかったに違いない。

一体これは自分の望んでいたことだったのだろうか、
いや、望んでいたことだったのだろう。
どっちにしても、俺と当麻の平行線の関係に未来はない。

この思いは男女の愛ではない。恋でもない。かといって友情でもない。
刑事としての絆が思いとなって心をあいつに向かわせているのだ。
かつて、あの世界の当麻に抱いていたようにそういう愛もあるのだ。

志村なら、あいつを安心してまかせられる
そして、先輩としていつまでも当麻を見守っていられる。
これでようやく、俺は次に進むことができる。


翌朝

教会の鐘が鳴り響く。
白いウエディングドレスに身を包んだ当麻。
その姿を追って、走っても、走っても
息を切らし、追いかけても、追いかけても
掴まえようとしたこの手をすり抜けて遠く離れていく。

「行くな、当麻。行かないでくれー」


「・・くっ、・・はっ」

額にはびっしょりと汗をかき、身体は小刻みに震えていた。
あまりの息苦しさに飛び起きて、瀬文はそれが夢であったことに気づいて
枕元の小さな仏像を手に取り、ぎゅっと握りしめた。

自分はいったいどこにいて、この気持ちは何で、そしてどこへ行くのか。
当麻は自分を何だと思っているのか。
それを知りたいという思いに気付いてもなお、現実を見たくなかった。

全ての思いをその仏頂面に閉じ込めて瀬文はいつものように未詳に向かった。





瀬文さんが、もう少し分かりやすく嫉妬するとか
寝ながら、志村と当麻でエロ妄想するとかの方が面白いと思うんですけど
なんかすいません。m(__)m

では、また。
タグ:当麻 SPEC 瀬文
nice!(0)  コメント(2) 
共通テーマ:テレビ

be with you [あなたと一緒に] 11 [SPEC]

俺の前に立つ、淡いベージュのスーツ姿の女。
髪は緩く纏められており、タイトなスカート丈は膝よりちょっと上、
そこからは白くて形の良い足が覗いている。

「って、誰だおまえ?」

上半身を反れるだけ後ろに反らして目を細めている瀬文にその女が声を掛ける。

「あたしですよ。老眼か?」

「何故、そんな格好してる?」

「な~んすか何か問題ですか?」
「今日は、デートっすから。うふっ♪」

「そうか」

そういえば時々、当麻のくせにいつもとはちょっとだけ違う時がある。

靴が、いつものローファーじゃなかったり・・・・・・まぁ、どうでもいいが
髪に何やら飾りがついていたり・・・・・・まぁ、どうでもいいが
シャツがフリフリしていたり・・・・・・まぁ、どうでもいいが
スカートがヒラヒラしていたり・・・・・・まぁ、どうでもいいが

「で、その恐ろしく悪趣味な男は誰だ?」

「おいこら瀬文。今のどういう意味だ。
 志村に誤りやがれ!」

「志村?」


そういえば、先日志村の家を尋ねた時のこと
酔っぱらった志村が可笑しなことを聞いてきた。

「先輩、当麻さんのことどう思ってるんでありますか?」

「はぁ?」

「だって、当麻さんて可愛いじゃないですか。
 それに、しっかりしてるし」

「あの魚顔の、凶悪面の餃子女が可愛いだと? 
 あれは、しっかりしてるんじゃなくてズーズーしいと言うんだ」
「寝言は寝て言え!」

「それに...」

「それに?」
瀬文の眉間の皺はどんどん深くなるばかりである。

「あの時、病院で当麻~、と~ま~って何度も呼んでましたし」

「知らん!」
黙れ、志村。

「意識ないのに、あんなに必死に名前呼んでるからとても大事な女(ひと)なんだと...」

「・・・知らん」
忘れろ、志村。

「じゃあ、いいんですか?」

「何がだ?」

「当麻さんと俺が結婚してもってことです」

「まあ、あれだ。当麻がそれでいいなら...いかんこともない」
俺に何を言えと?

「何、瀬文が許可だしてんのさ。 セブン、こっち見ろよ!
 ったく、このタコ! 人の気も知らないで。。。この鈍感、ハゲ」
「こうなったら、バイト先の講師とつきあってやる」

美鈴は右手にビール、左手でテーブルに肘をつき恨めしそうに瀬文を見上げている。
この世界でもやっぱり酒乱気味なのだった。

「美鈴、いい加減にしろ」

「おい兄貴。今度の木曜日、非番だろ。
 当麻さんを誘え、ものにしちまえ、このヘタレ!」


とか何とか言ってたな。

「なぁ、志村は優しいか?」

「優しいっすよ。
 誰かさんと違って殴らないし、睨まないし、キャリー持ってくれるし、奢ってくれるしぃ~♪」

「あぁ、そうかよ。そりゃ良かったな。 せいぜい、嫌われないようにしろ」

「大きなお世話ですよ。てか、関係ないでしょ瀬文さんには!」

「関係ないことはない! 志村は俺の大事な後輩だ。
 相手が、お前みたいな性格悪くて、大食いの魚顔のブスだと思うと気の毒でな」

「んだと、ごりゃー!!」

喧嘩上等の当麻に言葉を返そうとしたその時、
机の上に置かれた瀬文の携帯が震えた。

(「タケール?」)
「俺だ。何だ?」
(この後、例の事件のことでどうしても話があるの)
「でもいいのか?」
(「潤のこと? それなら宮野がピタパンちゅー預かってくれるから」)
「ん? それは一晩中ってことか?
(「ええ。それより人に聞かれちゃマズイから」)
「おまえのマンションならいいだろう」
(「ダメ。宮野がいるから」)
「そうか。それじゃ、俺ん家でいいか?」
(「そうね。8時過ぎなら行けるから」)
「分かった。こっちはあと30分したら出る」

『いいのか?』
『一晩中?』
『俺ん家でいいか?』

「って? 何や、瀬文。やっぱりあの色っぽい姉ちゃんとつきおうとるんやないか」

「吉川、そんなんじゃねぇ」

「未詳に戻す代わりに、必要があれば協力するという約束なんだからしょーがねーだろー」

「何の協力すか? ひょっとして瀬文さんの一人娘の潤ちゃんに妹か弟作るとか?」

「瀬文、子供までおったんかいな。なかなかやるの~、おぬし」

「当麻、黙れ!」
「吉川! 殺すぞ!」

「そういやー。当麻、なんで潤の事知ってんだ?」

「志村さんに聞いたんですよ」

志村の野郎、余計なことを...

「お酒飲ませて、可愛く迫ったらイチコロでしたよ」

「てめぇ、俺の可愛い後輩をもて遊んでんじゃねぇ」

「もて遊んでねぇし」
「里子~が待ってんだろ、いそいそとネクタイ絞め直して、早く行きやがれ。ハゲ!」

「おめーこそ、志村が待ってんだろ。似合わねー格好曝してねーで、とっとと行け。ブース!」

「二人ともさー、なんかそこまで行くとヤキモチにしか聞こえないから...」
(この発言は確実に火に油だ)

「『ちげーよ!』」

「ハモりよった。二人とも明日、遅刻すんじゃねぞ。おおっ!」
吉川とパンチーズは笑いとニヤニヤが止まらないようだ。

「残念でした~。あ・た・し、明日は非番ですぅ♪」
「お疲れしたー」

軽い足取りで歩き出す当麻を見送った。
なんだ、このイライラは...。
喉が激しく喘いでいた。








瀬文さんがどんどん暗くなっていってるので元の調子に戻しました。

でも、相変わらずちっとも二人がくっつく気配がないという。。。(笑)
瀬文と里子は絵になるし、志村と当麻の二人もなかなか似会うかもと思って。

ところで、瀬文さんて相手が里子だろうが、美鈴ちゃんだろうが、当麻だろうが
誰にころんでも、勝てない気がするのは私だけでしょうかねー。\( ̄▽ ̄;)/

では、また。

タグ:当麻 SPEC 瀬文
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:テレビ

be with you [あなたと一緒に] 10 [SPEC]

秋を過ぎてもこのところの空は不安定でどうも不可ない。

「お前は死ぬなよ」
俺はつい零れそうになる涙を隠すように手で顔をさすった。

ふいに発せられた言葉とその行動は、当麻にとっては意外なものであった。

「死にゃしませんよ。何すか唐突に」

「お前には、死んだら悲しんでくれる人がいるってことだ」

「何なんすか、それ。
 じゃあ、瀬文さんが死んでも誰も悲しまないとでも思ってるんですか?」

「少なくとも、志村さんや美鈴ちゃんが悲しみますよ。
 それに、未詳の仲間だっていますよねー」

「失ってしまったものに思いをはせても仕方ないです。
 そうやって、独りで悩んで、抱え込んで
 勝手に突っ走って勝手に死んだりないで下さい。迷惑です」

「つーか、何悩んでんだよ。言えよ! たまには頼れよ、このハゲ!」

仄かにくすぶっていた苛立ちと悔しさで瀬文を睨みつけた。


この世にある二つの悲しみ。
それは、去っていく者の悲しみと残される者の悲しみだろう。

自分が去っていく悲しみは俺にはない。
残される者の悲しみは・・・
孤独の中、ただ深い闇の中で何も見えず、何も聞こえず
立ち尽くすことしか出来ない。そういうものだ。

今のお前にはきっと分からん...。

「悪いが、今は何も言えん」

「それって、あたしのこと信用してないってことですよね」

返す言葉を探しても答えは見つかりそうにもない。


雨はふいに降り始め、やがて長く激しくなっていく。

強く見開かれた瞳に、引き込まれそうだと思った。
その思いを閉じ込めるように瀬文は取り出した傘を当麻の上に広げた。

「持っていけ」
立ち上がった当麻の手に自分の手を重ねるように傘の柄を握らせる。

少しだけ触れた当麻のかじかんだ指先が赤く腫れたようになって冷たかった。
それでも、そこに感じる温もりが確かに伝わってきたような気がした。

雨の中、当麻に背を向け、
思い切りよくその場を離れようとした瀬文のスーツの端を当麻の手が引き留める。

「瀬文さん...」

濡れながら傘を差し出す当麻を抱えるように傘に入れる。
それがひどく自然なことのようだった。

当麻には強く大きな印象があった。
それが思い込みに過ぎなかったのだと気づいた。

それ程に腕の中の当麻は小さく頼りなく柔らかく
抱きしめた腕に力を込めれば壊してしまいそうな繊細な存在だった。

「当麻...すまん」

彼女は暫く前を向いたままみじろぎもしなかった。

暫くして、そっと身体を預けるように頷いた
『こうしていたい』何も言わずそう伝えるように。

『こうしていろ』男は黙ったままそう返した
自分の身体の熱が彼女に伝わるように。

薄鼠の雲が、次第にしみてくる雨が
髪も、肌も、衣服も、あらゆるものを覆いつくす。
雨の匂いが堪え難い芳香を放つ。

その時、胸の内ポットのあたりが熱を帯びて
ほんの一瞬、光の記憶が甦り元の世界に引き戻されたような気がした。

答えを欲しがりさえしなければいつもそこにあるのに
その存在は不確かで脆く儚い。

肌の白さが、寂しげな唇が、鈍色ににじむ世界の中で際立った。
瞬きをするたびに零れ落ちる雨が、無防備な顔だった。

暖かな指が雫を拭い、頬を撫で、唇をそっとなぞった。
感じる肌の温もりが感覚を翻弄し思考を奪っていく。

それ以上手を伸ばせば消えてしまいそうで
答えを求める勇気は今の俺にはなかった。
逃げるように傘から逃れ、次の瞬間走り出そうとしていた。

「今日は、家に帰れよ。家の人が心配する」

それだけ言い残し、振り向きもせず駅への道のりを急いだ。


いつの間にか、瞬き始めた星が雨があがったのを告げていた。







ちょっとだけ、男女風で描いて色っぽくしようと思ったら
月9っぽく、ではなく昼ドラ臭い...。(笑)←笑いごとじゃねぇし!

当麻は金持ちのエロらい人と無理やり結婚させられるんですね。
でもって瀬文は嘆きのあまり酔った勢いで美鈴ちゃんに手を出してしまい
責任とって結婚しちゃうんですね。
だけど当麻を忘れられなくて、里子と浮気して
嫉妬した美鈴ちゃんに刺されちゃうんですね。
それを知った当麻が病院に駆けつけて、
瀬文にすがりついて泣いてるところをエロらい人に見られてしまい。
瀬文は、警察追われて、無実の罪に落されるんわけですね。
で、二人で手に手をとって逃避行するんですね。
「当麻」「瀬文さん、私たち一緒に死にましょう」

なんつって。


では、また。


タグ:当麻 SPEC 瀬文
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:テレビ
メッセージを送る

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。